デザインのお仕事の進み方・始まりから終わりまで解説!すぎなみNPOガイドが完成するまでのメイキング編
デザインの仕事ってどんな風に進めるの?と聞かれることがあります。
そこで今回は始まりから完成までの流れをすぎなみ協働プラザさんとのお仕事「すぎなみNPOガイド編」として書いてみたいと思います。
「すぎなみNPOガイド」はページものの冊子で余裕のあるスケジュールで進行しました。
● 2022年6月 杉並協働プラザさんから連絡もらう
メールですぎなみ協働プラザさんから冊子を作りたいと連絡をいただきました。以前とても立派な冊子をもらったことがあったので、それのことかな?と思いました。メールでスケジュールと予算をお聞きし、デザインさせていただくことにしました。
● 2022年7月 ヒアリング
すぎなみ協働プラザさんに出向き、どんな冊子を作りたいのか概要をヒアリングしました。
冊子の目的は「地域活動をはじめたい人の入り口になる冊子」で、入れる要素と全体のざっくりした構成、予算、ざっくりスケジュール(7月募集開始→10月下旬締切→データ揃う>最終データ年明け1月末>2月印刷)をお聞きし、参考資料を見せていただいたりして、イメージを共有します。こちらからも、質問や要望などをお伝えします。
まとめると下図のような感じで進行しました。
● 2022年 7月〜9月 協働プラザさんの動き
プラザさんの方で冊子に掲載する団体さんを募集しました。協働プラザには杉並区で活動している様々な登録団体がいます。そこに募集をかけます。僕がデザインを担当させていただいた「すぎプラ通信」というプラザさんの広報誌でも募集記事を掲載するなど、NPOガイドに掲載を希望する団体を募ります。
また、団体の応募状況を踏まえ、冊子全体のページ構成をプラザさんに決めていただきました。それをもとにこちらでデザインのレイアウトを決めていきます。
● 2022年 7月〜9月 工藤の動き
本格的にデザインを始める前に、事前に進めておけるところは進めておきます。
団体にどんな項目を聞いているか、ページ構成と必要な要素、応募があった掲載団体の原稿や画像、サイトのQRコードのデータなどを何度かに分けて送ってもらい、都度データをチェックし、必要であれば色補正などをしておきます。
何ページになるかは掲載団体数が決定するまで決めきれませんが、掲載要素は決まっているので、デザインの方向性や全体像は考えておきます。また、デザインする上での参考資料も集めておきます。
協働プラザさんに冊子全体のページ構成を決めていただき、より具体的に紙面をどうするか考えます。上図は実際にこんな感じかな?と描いたラフです。
イラストを入れたいと要望があったので、どんなイラストが必要になるか、表紙や紙面のデザインを考えながらノートに描いていきます。描いていると、不明点も出てくるので一緒にメモしておきます。ページ数を考えると予算もそんなにないので、イラストも自分で描くことにしました。団体の活動項目ごとにアイコン的にイラストを入れることにして、それを紙面や表紙でも使って、様々な団体の活動が地域社会で活躍しているようにしたいと思いました。
● 2022年 10月
応募数などの状況がある程度見えてきたところで、まずは要素の確認も含めて、団体紹介ページのデザインラフを下図のように見開きで作りました。デザインの方向性や入れる要素に不足しているものはないかを確認していただくためのものです。
各団体の詳細を入れ込んだ後で団体数や要素が変わってしまうと修正が大変になってしまうので、お互いの認識にズレがないか確認します。
● 2022年 11月 〜 2023年 1月
表紙なども含めた全体のデザインラフを提案しました。表紙は2パターンお出しし、選んでいただきました。感想や修正点などをまとめていただいて、デザインの方向性は概ね固まりました。
そして、団体数がほぼ確定したので、ページ数をどうするか検討します。A4冊子で、A3の紙を半分に折ったものをホチキスで綴じるため、ページ数は4の倍数になります。その結果、団体紹介ページは1ページに10団体から8団体に減らすことになりました。8団体にしたものもサンプルを作って確認していただきました。
確認していただき、ゴーサインが出たら、いよいよ各団体の情報を流し込んでいきます。入れてみると、画像がない団体や細かい表記ズレなどがあるのがわかって気になります。
細かい文字修正などは全体の修正が完了する度に、
●プラザさんに確認 → ●修正箇所指示してもらう
をしつつ完成に近づけていきます。
同じ団体が違う活動項目で2回出てきている箇所も見つかったりしたので、空いたスペースが想定より出てくることがわかりました。きっちり詰めると、丸々1ページ分が空きそうです。そこで、冊子の一番の想定読者である「地域活動をこれから始めようかと考えている人」の背中を押してあげられるような、先輩の体験談などを入れてみては?と思いました。そうした記事は「すぎプラ通信」でも掲載していたので、それを再利用してもいいのでは?と提案し、採用していただきました。さらに、そうした視点でプラザさんが情報を追加し、最後の見開きのページが出来上がりました。
また、文字情報の修正以外にデザインのブラッシュアップもします。紙面のバランス調整、文字サイズのメリハリの調整、デザインが甘いところを見つけては調整をかける、などです。
初心に振り返って、「そもそもこの冊子は誰に何が伝わるようにすればいいのか?」と考えると、「ここの文字はもっと目立った方がいいかも」「ここは一言添えた方がいいかも」などの改善点が見つかったりもします。最終段階では、文字と文字のあいだの隙間の詰まり方の調整もします。今回は冊子だったので、表紙や概要ページの見開き、団体名の目立つところに留めましたが、それでも掃除した後のように紙面がスッキリ整います。
● 2023年2月 データ完成!印刷!刷り上がり!
今回はプラザさんの方で入稿するということで、入稿用のデータを作ってお渡ししました。
印刷用紙は、刷り上がった際の保管スペースの問題と、ラックに入れたときにたくさん置けるように、気軽に手にとって欲しい、という理由から薄いペラっとしたものが選ばれました。
長い時間をかけて、コツコツ進めた仕事だったので、最寄駅のラックで見かけた時は、頑張ってみんなの役に立ってくれ!と応援したくなる気持ちになりました。
こちらのすぎなみ協働プラザさんのサイトでも全ページ見ることができます。
ご興味のある方はぜひご覧ください。
●まとめ
今回は冊子のデザインということで、僕がした仕事の中でも最も長く関わった仕事になりました。長期的なお仕事になりましたが、他のどのお仕事でも、
「① ヒアリング・打合せ ② デザイン ③ 確認」
という一連の流れは一緒です。
デザインは要望を伺った後も、デザイナーとお客さんとで一緒に作り上げていく仕事だと思っています。
長文になりましたが、参考にしていただけると嬉しいです。