第116回 南大塚ホール落語会[出張編]抜擢真打昇進前祝い【三人会】ビジュアルデザイン
「南大塚ホール落語会」は豊島区南大塚で地域の皆さんに愛されながら、ずっと続いている落語会です。第116回は、会場の南大塚ホールが改装により休館中のため、[出張編]として、池袋の「あうるすぽっと」にて定員を増やして行われました。
デザインするにあたり、会場の変更に伴い、想定されるお客さん層の違いなども考慮しつつ、
● 今最も油がのっていて勢いのある若手三名の「躍動」を感じ取れるデザインにしたい
●「南大塚ホール落語会」の常連さんと、少し尖った落語会にも行く人のどちらにも興味を持ってもらえるようにしたい
● 今までの「南大塚ホール落語会」と別物には見えないようにしたい
などの要望をいただきました。
そこで、シニア層を中心とした地域密着型の落語会の親しみやすさと、比較的若い落語ファンのどちらにも受け入れられるバランスを意識しつつ、
● 色は「躍動」からイメージした「赤」をメインカラーに
● 尖りすぎないように、楽しく柔らかさのあるフォントを選び、地域落語会の親しみやすさと、あうるすぽっとのアート性を両立
● 江戸落語の世界というテーマもあったので、和の印象も感じられるように、紙面の背景には和の伝統的な模様を文字が読みにくくならない濃さで入れる
ことを念頭に置いてラフ案を提案し、最も躍動感を意識したこのデザイン案を選んでいただきました。このデザインの狙いは、勢いのある若手3人の「躍動」を、変則的なレイアウト、文字の存在感と強弱、黒と赤と白のコントラスト、斜めのラインの勢いや動きで表現したところです。
ラフ以降も、こちらから文言の追加を提案させていただいたり、発注主さんからもご高齢の方が見た時を考慮し文字を見やすくしたい、などのやり取りを経てこの形に辿り着きました。
とても気になる落語会だったので、当日は僕も観覧させていただきましたが、無事に満席になり、各施設にチラシを配下に行ったスタッフさんからも、落語ファンの方が多く手に取ってくれたと教えてくださり、とてもホッとしました。
地元が大塚でこの落語会の企画にも大きく関わっている入船亭扇橋さん、2024年春に抜擢真打昇進になる林家つる子さん、三遊亭わん丈さんの落語も堪能させていただきました。
このお仕事はそもそも、僕が担当させていただいている 立川志の太郎さんの落語会のビジュアルデザイン を担当者の方がSNSで見て声をかけてくださったという経緯もあって、落語ファンとしてとても嬉しいお仕事になりました。