【福祉関係者のためのチラシデザイン /ポイント・コツ・作り方】デザインを始める前にやっておくこと
イベントや講座等をお知らせするチラシを作らなきゃいけなくなった。でもプロに頼むお金もない。デザインする自信もない。でもせっかく作るなら、ちゃんと伝わって届くデザインにしたい。でも、どうしたらいいのか。。
そんな広報担当者の方向けに、チラシを作る前にまず考えること、実際に作るときに気をつけないといけないことをお伝えできればと思います。
今回はチラシを作る前に考えるといいこと編です。
実際に手をつける前に整理しておくこと
「誰に、何をして欲しいのか」
そんなの当然と思うかもしれませんが、いざ作り始めるといつの間にか「あれ?これ何のためにしてたんだっけ?」となってしまうことはよくあります。
大事なのは、「誰に何をしてほしいのか」を真ん中にして、そのために「いつ、どこで、どうやって、手にするチラシで、何が伝わるといいのか」をまずは整理することです。
これは、チラシに限らず、すべての広告物に言えることだと思います。
まず「誰に」をしっかり考えてみる
まずは、「誰に」「何を」して欲しい目的で作るものなのか?を考えることから組み立てるといいと思います。
チラシに限らず、ネット広告、SNS、テレビCM、ポスターなども同じことが言えます。
チラシを作る以上、誰かに何かして欲しい・伝えたい目的があると思います。
どんな人に伝えたいでしょうか?
例えば、地域活動に興味がある人、防災に興味がある人、子ども、お母さん、お父さん、学生さん、お年寄り。
目的によって様々だと思います。
その人を具体的に思い浮かべられると、その人がチラシを見てどんな反応をするのか考えやすいので、できるだけその人のことを詳しく考えてみてください。
もし、具体的に知り合いの人の顔が思い浮かべば、それがベストです。
その人に見せたらなんて言うかな?と考えながら作ってみてください。
具体的に誰かの顔が思い浮かばなければ、その人が普段どんな生活を送っている人なのか、生活を想像してまとめてみてください。
これは、マーケティングの言葉では(あまり好きな言葉では無いですが、、)「ペルソナ」と言われていて、仕事や趣味や家族構成や悩み事、抱えている問題などを具体的にします。
例えば、「地域活動入門講座」に、定年した男性に参加してほしくてチラシを作るとします。
その男性は、、
太田勝 (68才)
男性
奥さんと子供が二人いるが、子供は独立し、奥さんと一軒家に二人暮らし。
趣味は新聞を読むことで、普段は読まない新聞もたまにコンビニで買ったりしている。
奥さんとは買い物や散歩には一緒に出かけるが、奥さんが一人で友達と趣味の会に出かけることもあるので、一人の時間が増えて、近所に友達がいたらいいなと思っている。
というような感じで、なるべく具体的にその人の生活を考えます。
普段からこのペルソナのような人と仕事やプライベートで接している人に聞いてみたりして、なるべくリアルな姿に近づけるようにします。
適当に作ってしまうとペルソナを作る意味がなくなってしまいます。
しっかりとリアルなペルソナができると、どんなことが伝わったら、この人は講座に参加したくなるだろう?と具体的に考えられるようになります。
決めるときの判断基準ができるのです。
こちらは試しに作ってみたペルソナのサンプルです。(写真はフリー素材を使用しました)
顔写真も入れるとよりイメージがしやすくなります。
自分の周りにいる人たちを想像して作ったものなので、実際はもっとリアルな方がいいですが、漠然と誰かに向けて作るよりどんなチラシを作ればいいかイメージしやすくなりませんか?
これをチームメンバーと共有することで、具体的な話し合いもしやすくなります。
何をどう伝えるか
届けたい人のことが整理できたら、どう伝えればその人が参加したくなるのか考えます。
キャッチフレーズや、講座名・イベント名を考えるということです。
先ほどの「地域活動入門講座」で言うと、普通は大きく「地域活動入門講座 受講者募集!」というような内容のことを大きく入れたくなります。
そもそも地域活動に興味を持っていたりする人であれば、それでも興味を持ってくれるかもしれませんが、今回のペルソナの「太田勝さん」は地域活動にあまり関心がありません。
というより、地域活動をするという発想がなさそうです。
ですが、一人の時間を誰か友達と過ごせたらいいなとは思っています。
そこで、例えば、「地域活動」を「近所の友達と趣味の時間を過ごせる場所づくり」のように捉え直したら、もう少し興味を持ってもらえる文言を考えられるかもしれないです。
例えば、一番大きくする文字を「地域活動入門講座」ではなく、「友達作って遊びませんか?」や「近所で遊ぶ友達募集!」と言ってみたほうが、関心を持ってもらえる可能性が高そうです。
そんなふうに、届けたい人のニーズやメリット、悩みや、抱えている課題や問題などを考えて、それに寄り添うワードをいれる。
そうすることで、その人がチラシに興味を持ってくれやすくなります。
見る人にとって大切なのは、そのチラシが自分の生活に関係があるかどうかです。
「何を伝えたいか」を決めるのは前提ですが、それをどう伝えたら興味を持ってもらえるかを考えないと、伝わるものにはなりません。
さらに言うと、実際に申し込みたくなるチラシにできれば完璧です。
以前、広告はラブレターによく例えられました。
好きな人に想いを伝えるとき、どうすれば自分のことを相手に気にしてもらえるか、いろんな方法を一生懸命考えますよね?
相手の好きなものが自分も好きとか、自分はあなたのこういうところを見ていますとか。
その人のことをいっぱい考えるはずです。
そんなふうに、どう伝えたら振り向いてもらえるか?考えましょう。
その人とチラシの出会い方
チラシをその人が目にするのはどういう状況なのか?も大事です。
窓口に来た興味がありそうな人に手渡しするのか、関係者に郵送するのか、公共施設のラックに入れておくのか、HPやSNSに載せるのか?
直接手渡しして口頭で説明をするのが前提のチラシと、公共施設のラックで手にとってもらって、伝えたいことが一枚に収まっているチラシとでは、載せる内容も変わってきそうです。
ラックに入れるとなると、タイトルを上にしないと隠れてしまうなど、レイアウトにも気をつけないといけません。
今回の「地域活動入門講座」の例で言うと、ペルソナのこの人は散歩をよくしています。
街のお店や掲示板にポスターとして貼ってあったら、目にするかもしれません。
奥さんと散歩中に目にしたら、もしかしたら奥さんに「近くに友達欲しいって言ってたから、これ参加してみたら?」と会話が生まれるかもしれません。
すでに地域活動で場を作っている人や場所に協力してもらえるなら、そこにポスターとして貼らせてもらったり、興味ありそうな人に紹介してもらえるかもしれません。
むしろ、講座を受講せずともその場所で友達ができて、結果的に地域活動になってしまうこともあるかもしれません。
都合がいいストーリーかもしれませんが、つまり言いたいことは、ペルソナを設定していると、目にしてもらう場所も考えやすくなるということです。
そうして、じゃあどういうチラシのデザインになっていたらいいのか?と実際のデザインを作る段階になります。
いかがでしょうか?
いきなりデザインを考えるより、こういうことを考えた上でデザインを考えると、全く質の違う効果的なチラシが作れそうじゃないでしょうか?
参考になりそうと思ったら、是非実際に試してみてください。
そしてもし役に立ったら教えて欲しいです。やりがいを感じて喜びます。
デザイナーに仕事を依頼する時も、こういうことを前もって伝えてもらえると、より効果的に伝わるデザインができます。
むしろ、お仕事を依頼してくれた方に読んでもらうための記事という側面も強いかもしれません。
正直なところ、自分を棚に上げて書いているところもあります。
ですが、より効果的なデザインができるように、自分にも言い聞かせるつもりで書いてみました。
もしここがもっと知りたい!というところがあったら教えて欲しいです。
次回は、この記事を踏まえて、実際にデザインするときに注意するポイントやコツについて書いてみたいと思います。